全国ろう学校PTA連合会 会長 横田 志津
わが国で、新型コロナウイルス感染症の最初の感染者が昨年1 月に確認されてから1年経ちました。新型コロナに罹患された方々はじめ影響を受けた全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。また、感染拡大防止にご尽力されている皆様に深く感謝申し上げます。
さて、昨年4 月に緊急事態宣言が出されたとき、移動が制限されました。政府が新しい生活様式の中で、会議の在り方などを提案したのを機に、本会も今までのやり方を変えることにしましたが、私は、いろいろ見える化するよい機会と考えました。まず、理事会をリモートで行い、総会を書面により議決していくことにしました。これにより各理事の時間と交通費等の節約に繋がりました。次に、各校のPTA活動が抱える問題や課題を知るために実態調査を行い、結果を報告させていただきました。他校の知恵に学び、自校の課題解決に繋がればと考えたからです。さらに、文部科学省と厚生労働省への予算要望のやり方を見直しして、手順を踏んで各地区の意見を反映させるようにしました。
家庭教育を考える部会は、前年度に新たな形で実施することに決まっていましたが、こちらも開催できなくなったので、誌上報告に切り替えました。急な変更になりましたが、講演者、シンポジスト、そして寄稿して頂いた先生方に協力して頂き、お蔭様で、指導誌「道標」を発刊することができました。改めて執筆していただいた皆様に感謝申し上げます。
話は変わりますが、私はろう者なので、私が受けた教育の経験から、聞こえない子供たちが聞こえて上手に喋れることを目指すだけでなく、手話をメインにした指導で目からの情報が保障されて、しっかり学ぶことができ、自分らしさを身につけて、自立できるように成長してほしいと願ってきました。
私は、会長を経験する中で、いろいろな考え方や見方そして方法があることを学びました。その結果、聞こえない、聞こえにくい全ての子どもたちが、それぞれの方法でたくさん言葉を身につけ、言葉の力でいろいろなことを理解し、考え、話し、書くなど、自分の考えを周りにきちんと見えるようにしていくことが大切だと思うようになりました。「言葉が見える」は、まず手話だけ聴覚口話だけという論争ではなく、どのような方法であっても話題を広げたり深めたりしながら、長く会話することができるという意味だと教わり、改めて言葉が見える中で、子どもたちの心が育っていってほしいと思いました。
私たち保護者は、子どもたちが学校に毎日楽しく通えるようにするために、できる限り協力していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。